結婚式はしない時代へ~かわいそうとは言わせない「ナシ婚」のすすめ~

結婚式 夕暮れ

 ナシ婚とは、結婚式をしないで入籍だけをする新しい結婚のスタイルです。大々的な挙式・披露宴に必要性を感じない人が増えてきています。ひと昔前までは、結婚が決まると、挙式・披露宴を開くのが当たり前といった風潮がありました。現在はどうでしょうか?10年以上ウエディング業界に身を置く筆者ですが、昔と比べて、結婚式は驚くほどの変化を遂げています。コロナ禍でさらに変化は加速し「ナシ婚」への周囲の印象も変わりつつあります。今は、結婚式が盛大に行われていた時代から、ナシ婚を選択できる時代への過渡期。「結婚式」のスタイルは今後さらに多様化すると感じています。

結婚式をしない=かわいそう?

結婚式をしないという選択肢は、時に誤解が生じることがあります。実際に結婚式をしないのはかわいそうといった風潮があるのは確か。特に、年配の方や女性に多い傾向があります。ではなぜ結婚式をしないのはかわいそうなのでしょうか?人によって思うところは様々ですが、代表的な例を紐解いていきましょう。

自分が結婚式をしてよかったと思っているから

 一番多く、思いも根深いのはこの理由ではないでしょうか?「自分が結婚式を挙げたから、他人がしないのはおかしい」「自分が結婚式をして良かったから、この幸せを味わってもらいたい」そんな親切心ともとれる感情が「結婚式をしないのはかわいそう」に結びつきます。特に後者は、両親や、年配の人に多い理由です。結婚式を挙げるのが当たり前だった時代の人からすれば「結婚式をしない」は信じられない選択肢なのかもしれません。確かに、結婚式は良い思い出になります。結婚式をしなければ良かった人と結婚式をして良かった人を比べれば、圧倒的に結婚式をして良かった人の方が多いです。でもそれは、やらない後悔よりもやった後悔の方が少ないからではないでしょうか?結婚式を挙げて良かった人に「結婚式で後悔していることはありますか?」と質問してみてください。本当はやりたくなかった演出、準備が大変だったこと、お金をかけすぎたこと。結婚式当日は楽しかったけれど、準備や金銭面で苦労したことが必ずでてくるはずです。

お金がないと思われているから

結婚式が当たり前の人にとって「結婚式をしない」は「結婚式ができない」かわいそうなふたりに変換されがちです。しかし実際は、お金があっても結婚式をしない二人はたくさんいます。「結婚式ができない」から結婚式をしないのではなく「結婚式をしたくない」から結婚式をしない時代に変化していっているのです。

ウエディングドレスを着ることができないから

結婚式の一番の象徴である花嫁姿。ウエディングドレスに憧れを抱く人たちにとっては、せっかく結婚するのにドレスが着れないなんて…と思うかもしれません。でもそれは個人の見解であって、ドレスを着たくない女性、タキシードを着たくない男性もたくさんいるでしょう。ドレスとタキシードを着たいのであれば、結婚式をしなくても、ウエディングフォトやハネムーンフォトなどの選択肢もあります。

結婚式をしないことは、決してかわいそうではありません

例えば、ほんの30年前は、結納をするのが当たり前でしたし、結婚式には仲人がいることがマストでした。でも、今では仲人ありの結婚式はほとんど聞かなくなりましたし、結納も、儀式的なものでなく、食事会・顔合わせに略式化されていますよね。結婚式の開催自体にも、その流れがきています。今はその過渡期なので「ナシ婚」を選択した二人は、周りから心無いことを言われるかもしれません。でも、10年後には、今は反対している人にもきっと理解してもらえるはずです。結婚式は必ずしなければならない時代から、「結婚式をしない」「ドレスだけ着る」「写真だけ残す」「会食会のみ行う」など、自分たちに合ったスタイルを選べる時代に変化しているのです。今「ナシ婚」を考えている人は、その時代の最先端にいるだけなのです。決してかわいそうではありません。

結婚式を分解し、自分たちがしたいことだけをピックアップ

「ナシ婚」を選択した先輩に聞いてみると、入籍のみで何もしていない人はほとんどいません。

結婚をするにあたって「入籍」以外に常識になっていることはたくさんあります。

例えば、結婚式の前段階である両家顔合わせは、両家両親の同意が無い限り、ほとんどのカップルが開催しています。このように、自分たちにとってしたいこと、しなければならないことを話し合って、必要な物だけをピックアップすれば、無駄な時間もお金もかけずに結婚をすることができます。下記は結婚に関わる代表的なイベントです。この中から好きなものを選んでいけば、それぞれの理想の結婚スタイルが見えてきます。

入籍前

  • 婚約指輪の購入
  • 両家顔合わせのための食事会
  • 結婚指輪の購入

入籍後

  • 新婚旅行

結婚式をしない場合

  • ウエディングドレスを着て写真撮影(フォトウエディング)
  • 親族のみで行う会食会
  • 友人を招いての簡単なパーティー

上記の中から、自分たちがしたいことだけできる方法を考えてみてください。例えば私の場合は、婚約指輪は貰っていませんし、結婚指輪も形だけの安価な品です。私は軽度の金属アレルギーで、指輪をする習慣がなく、婚約指輪にも憧れがないため購入しませんでした。また、お互いに連休が取れない仕事だったので、新婚旅行も行っていません。指輪については、全く後悔していませんが、新婚旅行は行きたかったな…と後悔しています。

必要なことは、他人にどうみられるかではなく、自分たちがどうしたいかだと思います。ドレスに憧れのある人、ハネムーンは外せない人…二人で話し合って、自分たちらしい結婚のスタイルを探してください。

「ナシ婚」を両親が反対している場合

二人の話し合いが順調でも「結婚式をしない」ことを両親又は義両親に反対されている人もいるのではないでしょうか?理由は様々だと思いますが、前述したように結婚式をするのが常識な人には「ナシ婚」は受け入れてもらえないかもしれません。その場合は、自分たちの意向を伝えつつ、両親が結婚式の「何に」重点を置いているのかを聞いてみてください。「ドレス姿が見たい」のであれば、フォトウエディングが選択肢に入りますし「祖父母が楽しみにしている」「親族を招待したい」のであれば簡単な会食会を開いてもよいでしょう。特に義両親の意見は、大切にしておいた方が今後のためです。両親の希望を考慮しつつ、打開策を考えていきましょう。

常識にとらわれずに、ふたりが満足する形を模索して

新しい結婚の形「ナシ婚」。結婚式をしないことはかわいそうではありません。私たちは「盛大な結婚式」から「選択できる結婚式」の時代の過渡期にいるだけです。10年後には「ナシ婚」も常識になっているはずです。それでも結婚が人生の一大イベントであることに変わりはありません。自分たちが後悔しない、満足する形を探してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました